マリア・カラスはマリリン・モンローに非ず
今日オンエアの「とくダネ!」によると「ただいまマリア・カラスがブーム」なのだそうだ。知らなかった…。田舎に居てたら都会の流行なんて全然わかんないもんね…。
てボケかましている場合でない。マリア・カラスを全国ネットのテレビで紹介してくれるのは誠に有難いのだが、その紹介の仕方が気に食わない。今日のようにスキャンダルをただ羅列してるだけでは、彼女がなぜ偉大なのかが全く伝わらない。カーテンコールが何回あったとか、拍手が何分続いたとかそんなのではなく、彼女の歌唱そのものの偉大さについて触れてほしいのだ。尤も「身を削って劇的表現を追求した」という評論家のコメントはあったけど、カラスの場合それだけでは足りない。
マリア・カラスの最大の業績は、「総合舞台芸術」を謳うワーグナーに比べて1ランク低く見られがちだったイタリア・オペラに新たな光を当て、その芸術的価値を広く世間に認知させたところにある。特にカラスの生前「時代遅れ」と云われ、すっかり忘れ去られていた19世紀前半の歌劇において、彼女の歌唱には定評があった。「メデア」(ケルビーニ)「ヴェスタの巫女」(スポンティーニ)「ノルマ」(ベルリーニ)「ルチア」(ドニゼッティ)などの作品の真価を世に知らしめた功績は大きい。
よってマリア・カラスを知るには、何度も繰り返しリリースされるベスト盤ではなく(今回発売されたので一体何度目だ:笑)、彼女が主役を務めたオペラ全曲盤(特にベルリーニやドニゼッティ)を聴くことを強く薦める。そしてできるなら彼女の全盛期だった1950年代の録音が良い。この時期のカラスの録音は正直あまり音が良くない。しかし劣化したサウンドであっても、他を圧倒する存在感は確実に伝わってくるのだ。
- アーティスト: カラス(マリア),ミラノ・スカラ座合唱団,ステファノ(ジュゼッペ・ディ),パネライ(ローランド),ザッカリア(ニコラ),ドニゼッティ,カラヤン(ヘルベルト・フォン),ベルリンRIAS交響楽団
- 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
- 発売日: 1997/10/22
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- アーティスト: カラス(マリア),コレルリ(フランコ),ルートヴィヒ(クリスタ),ザッカリア(ニコラ),ベルリーニ,セラフィン(トゥリオ),合唱団ミラノ・スカラ座管弦楽団
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- アーティスト: サン・カルロス歌劇場合唱団,アルフレード・クラウス,マリオ・セレーニ,ヴェルディ,フランコ・ギオーネ,マリア・カラス,サン・カルロス歌劇場管弦楽団
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