昨日のガーナ戦は面白かったのか

私の率直な感想を述べさせてもらうと「面白くなかった。全然。」となる。あの試合が無料の練習試合だったら「あぁ、日本代表は良い練習が出来たな」で済むんだろうけど、あの試合をン千円払って観にいった観客はブーイングする資格があると思う。しかし…。
この試合は正直「複雑な試合」だった。父オシム川淵キャプテンも選手たちも観客もそれぞれ別々のことを考えていた「同床異夢」の試合だったと思う。父オシムはガーナの強力な中盤と伍するための布陣を構想し、それがある程度「ハマった」試合だっただろうし、JFAとしては「興行面」と「代表の強化」の両方を天秤に掛け、「次はどうしよう…」と頭を抱えていただろう。選手たちは「次の試合にも代表に呼ばれたい!」と念じつつもガーナの「スピード」に(攻撃面でも守備面でも)90分間戸惑い通しだったし、サポーターは「そろそろイイところ見せて欲しい!」と思いつつも「まだまだだな…」と痛感させられることになった。
結局父オシムの頑固爺ぶりが如実に現れた試合だったのではないか。ハッキリ言えばこの試合は「欧州組」を呼ぼうと思えば呼べる試合だった。敵にはエッシェンアサモア・ギャンアッピアも居たし。しかし父オシム中村俊輔フリーキックでドン!とか、松井大輔がサイドをオシャレに切り裂くプレーは今の日本代表のテストマッチには不要と考えたのだ。
私が父オシムの強化方針に好意的だからそう見えるのかもしれないが、今年の日本代表は敢えて「Jリーグ選抜」にして、日本と「世界」の距離を知ることに専念しているような気がする。だがそれ故に世界との距離が実に遠いことを改めて痛感させられたのだ。だってガーナの得点のシーンのあのスピードなんかJ1でも絶対に見られないもん。
それから一般的には結構中村憲剛の評価が高いけど、私は憲剛がスルーパスを出すも悉くガーナDFにカットされる光景を目にして「W杯の豪州戦と変わらんな…」と思いながら見てた。あの程度のパスはJなら通ってただろうが、世界レベルでは全く通用しない、ということをいい加減日本のファンも自覚すべきだ。今やパスを味方の選手に通すためにはパスを供給する側も受ける側ももっと動いて敵を欺く必要がある。昨日のようにどっちもじっとしている「蹴鞠」のようなパス交換では敵DFの餌食になるのは明らかだ。このあたりの「動き」をJのプレーヤーが身につけられるのかどうかでオシム監督の在任期間も決まってくるだろう(ややキツイ表現だが…)。