高嶋ちさ子に注ぐ2つの羨望の眼差し

「笑ってコラえて!」の「吹奏楽の旅スペシャルを見た。フィーチャーされた3つの高校の作る音楽はどれも素晴らしく、それぞれに思いはあるんだけど、ここではそれとは違うはてなっぽいことを書いてみる。
素人の、しかも高校生に向かって「懲りてねえなぁ」とVを見ながら結構強いツッコミを入れてた高嶋ちさ子ですが、吹奏楽コンクール全国大会の会場の普門館を紹介するとき彼女が「私一度行ったことあります。カラヤンを聴きに行ったんです」と言った瞬間ものすごいジェラシーを感じた。カラヤンは何度も普門館でコンサートを開いてるけど、彼女が聴いたのはいつのライブなんだろう、あの伝説の1978年のベートーヴェン交響曲全曲演奏(チクルス)なのか、1979年の伝説の「第九」なのだろうか。それとも病後でありながら健在振りを誇示した1984年なのか、いずれにしても羨ましい。そんな妄想で頭が一杯になった。
我が身を振り返ると、人に自慢できるコンサート体験があまりにも希薄なのに気づく。テレビでオンエアされたカラヤンの大阪公演(1984年)も、バーンスタインイスラエル・フィルの歴史的なマーラー「第9番」も、評論家にけなされても私が偏愛していたシノーポリウィーン・フィルとのブルックナーも、知人の「良かった」という感想を羨望の眼差しで聞くことしかできなかった。チェルカスキーリヒテルといった伝説的存在のピアニストのリサイタルも結局公演中止になったりして聴くことは叶わなかった。聴いたのっていうとアレとかコレとかソンナのとか、名前を出すのは差し控えますが、まあ聴いていて幸せになれなかったのばっかり。邦楽関係ではサザンとか福山雅治とか、けっこう面白いのを体験してるけど。あっ、今思い出した。スウィトナーの指揮する「マイスタージンガー」を聴いた。オペラ(楽劇)だから「見た」と言った方がいいかな。これは胸を張って自慢できる。ただこれを観に行ったのは高校を卒業したばかりの頃で、それまでテレビでした観たことのないような背中がバックリと開いたドレスのご婦人方がロビーで闊歩していてあまりの衝撃に視線が釘付けになったのと、長い演目(ギネスブックに載ってる位長い。5時間以上かかった)なので終了後終電に乗り損ねたりとか、そんな瑣末なことの方が印象的な思い出ですが。