実家にて

敬老の日が近いから、というわけでもないのだが実家に帰る。ひときしり歓談したあと母が「阪神戦やってるかな」といいながらリモコンでテレビのチャンネルのあちこちを押して甲子園の試合を探し当てる。今日は土曜日だから、よみうりテレビの番だ。スコアレスの均衡が続くなか父は「こないだ繁昌亭に行ったら、桂きん枝が岡田監督の仕草はこんなや、て真似てたで」と言いながら、試合が伯仲したときの気難しい岡田、ファウルしたときのぬか喜びの岡田などを真似てみせる。そうしている中、濱中が打席に立った。初球を振り抜くと鋭い飛球がレフト方向に飛ぶ。打球はポール左側のファウルゾーンへ。「濱ちゃんはあのコースの打球が多いねん」と母。そうこうしているうちに「もうすぐ放送時間が…」とのたまう実況アナ。あわてる両親。「どっかやってるとこないか」「KBS(京都)やってへんか」とリモコンを慌てながら操作する両親。「今日はリレーナイターちゃうがな」と思いながら私が冷静にラ・テ欄を一瞥して「BS1でやってるで」と指示。無事甲子園の動画が再び眼前に。それを見届けたあと私はトイレへと急ぐ。用を済ませて戻ると「打ったで」「2点や」と両親。眼前には濱中の2ランのリプレイが映る。見た目には初球と変わらない弾道だが、2度目はきちんとフェアゾーンに運んだようだ。
9回になり、甲子園にリンドバーグのメロディが流れる。観客がペンライトを振ってるかのように腕を左右に振る様子を見ながら「これ敵から見たら腹立つやろな」と父。試合は阪神の思惑通りの幕となる。安心する父母。
夜になると私はサンガ戦の経過が気になる。だが父母は「今日は巨人戦あるやろ」「一応経過を見たいねん」と仰う。「うう…」と思いつつリモコンを巨人戦に合わせる。試合の経過に一喜一憂する父母。サンガ戦の経過が気になるも両親に調子を合わせる。
翌朝実家で新聞を眺める。今現在実家の新聞は京都新聞だ。浦和の勝利を傍らに押しやり、サンガの勝利を高らかに報じている。京都新聞Viva!それでこそ大本営(笑)。