今日は何の日

昼飯を食べにそば屋に入ったら、みのもんたの番組をやってた。そこで「9月12日は小澤征爾ブザンソン指揮者コンクールで優勝した日」と紹介していた。
そういえば最近刊行された本にこんなのがあった;

音楽の旅人―ある日本人指揮者の軌跡

音楽の旅人―ある日本人指揮者の軌跡

先日図書館で借りたのだが、冒頭部でいきなり「ピアニストのレオ・シロタ(ベアテ・シロタ・ゴードンの父)はナチの迫害を逃れて来日した」という記述を見て萎えてしまった(実際は、山田耕筰に請われる形で東京音楽学校のピアノ科教授として赴任)ので、暫く読まずにいた。しかし返却日が迫ってきたので読み進めることにした。
ひととおり読了しての感想だが、正直日本、いやアジアを代表するパフォーマーの出世伝としては物足りない内容であった。私は「『オザワ』はサッカー界で言うところの「三浦カズ」的存在だ」という認識があるので、そのあたりの重要性がもっと炙り出されるかと思ったが「さにあらず」であった。
実は小澤の半生については「謎」の部分が沢山ある。どうして海外渡航が困難な時代に、あっけなくフランスに「武者修行」することができたのか。そして日本楽壇での実績が全くない彼なのに、支援する人たちが雨後の筍の如く現れたのはなぜなのか。そしてブザンソンで優勝した小澤に楽壇が飛びついたのはなぜか。この辺については上記書籍は「彼の人徳のなせる技」的記述が目に付く。しかし本当にそれだけなのか。そのあたりの「本質」に迫る記述が欲しかった。故人ならともかく、小澤征爾ウィーン国立歌劇場音楽監督としてまだまだ現役の演奏家なのだ。彼に近くて、彼のことを知る人物に体当たりインタビューするなりして、もっと「生」な「オザワ」をひきだして欲しかったのだ。