ワールドカップ 開幕はしたけれど…

開会式はグラウンド上のPAが良くないのか、時折歌声が聴こえないことがあった。音楽に造詣が深い国であるはずのドイツにしてはお粗末な出来事であった。
それよりもあのドイツW杯テーマソング「The Time of Our Lives」(ASIN:B000FO6L04)の演奏はなんとかならなかったものか。「ドイツ対コスタリカ」戦の前に歌っていたけど、開幕前独特の高揚した気分に全然なれなかった。
それはなぜか。手前に並んだ5人の歌手たちもバックのヴァイオリン奏者たちもニヤニヤしていたからだ。緊迫感の感じられないパフォーマンスからは予めレコーディングしたテープに口パクで合わせているのがミエミエ。この有様ではワールドカップに向けて闘志を奮い立たせることなど到底できない。「祭りだからこんなモノ」とお思いの方は、今年2月のトリノ五輪を思い出してほしい。開会式で「だれも寝てはならぬ」を披露したパヴァロッティは既に全盛期を過ぎていて、最近はオペラハウスの第一線から退いた格好ではあるが、トリノでは熱唱を聞かせてくれた。あのときの彼の肉声が(やはり)テープに録音されたものであった可能性は否定しないが、少なくとも彼の表情は真剣そのもので、本大会の真剣勝負への期待を駆り立てずにはいられなかった。そのときのように会場の観客、そしてテレビで接する世界の視聴者たちの魂に触れるようなパフォーマンスを今回目にすることができず残念至極である。このあたりFIFAは世界最大のイベントに対する配慮が足りなかったのではないか。