「あいのて」のこと

なにやらNHK教育の新番組「あいのて」の第2回オンエア分が、視聴者からのクレームのために予定の放送を中止し、別の回の分に差し替えられたらしい。
問題となったシーンはどうやら出演者全員がテーブルを叩いて音を出す場面だった模様。ここからは私の想像だけど、きっとこの行為に対して「行儀悪い」「子供が真似する」みたいなクレームが出たのだろう。
しかしこの番組、実はクレームを付けようと思えば幾らでもイチャモンを付けられる。今日「第2回」に差し替えられてオンエアされた「第3回」ではマリンバにピンポン玉を叩きつけていた。この光景をみて「こんなことテレビでやったら子供がまねする」と思った音楽の先生がいるかもしれない。そして鍵盤ハーモニカにペインティングを施してることについても「大事な楽器をあんなに汚して…」と苦々しく思った方もいるかもしれない。
私がこんなことを書いたのは「あいのて」を批判したいからではない。私の立場はむしろその真逆だ。日常に潜む「遊戯」を全面開放し「叩くこと」の快楽を全面肯定する「あいのて」のコンセプトは実にすばらしい。そんな番組に対する無理解の表れでしかないクレームにまともに取り合う必要があるのだろうか。ここでNHKの番組プロデューサーのとるべき態度は番組制作に携わっている音楽家たちに頭を下げて番組差し替えを了解してもらうことではなく、雑音に耳を傾けずスタッフを「これからもがんばりましょう!」と鼓舞し、より良い番組づくりに邁進させることではないか。こんな前例を作ってしまうと次に同じようなことが起きても今回と同じような対応が続いてしまう。これでは番組づくりに悪い影響が出てしまうのではないか。