「世界水準のオペラ」とは?

今朝テレビでニュースをぼーっと見てたら突然オペラ公演の模様が流れました。この時間帯のニュースでオペラが紹介されるのは珍しいので「オッ!」と思いました。ニュースによるとどうやら日本人で一番有名な指揮者が(名手ばかりを集めたという)特別編成のオケを指揮し、国際的なビッグネームの歌手を集めてオペラを上演したようです。そしてオペラの映像に乗せて「日本で本当の世界水準のオペラを披露した」というアナウンスが流れました。
恐らくこのアナウンスがなければ「ああ上野でオペラか。成功して良かった」という感想で終わったでしょうが、テレビでのその一言が妙に引っかかったのです。


「世界水準のオペラ」って何?


世界でも有名な指揮者が指揮して、ギャラの高い歌手を集めて、欧米で仕事する演出家を呼べば、ほ〜ら、「世界水準のオペラ」のできあがりぃ………。
てそんなスターシステム全開の手法て正直抵抗を感じちゃうのですが…。というか日本のオペラ公演に私は顔を出したことがないので正直よくわからんのですが、これまで本当に「世界水準のオペラ」て日本ではなかったのでしょうか?
まあこれだけならまだいいとして、公式サイトを覗いて私はビックリしちゃいましたよ。自分とこが所有する楽団への補助をカットした自治体が主催してるよ!そうか〜、どこかの批評家が自分とこのオケを「世界の一流と比べると劣る」とか云ってるのを真に受けたのかな。もしかしたら今回編成された特別編成の管弦楽団の方を自分のモノにしようとしてたりして。大学みたく総取っ替えですか〜。それからその下には、これまた自前の楽団を持つ某巨大放送局の名が…。で後援してる団体の理事長をなさってる方は先日社長交代劇のあった会社の方ですし。実行委員長も某放送局のあの方だし、なんかマスコミ界政界財界こぞってサポートしてますな。結局地道にやってるところよりも、こういう派手なイベントをサポートした方が宣伝効果抜群ということなのでしょうか…。このことの是非はともかく、なんか寂しくなりました…。
ちなみに私、今回のプロジェクトで指揮をなさっておられる方を貶める積もりはありません。この方の指揮したオペラの中で「ティレジアスの乳房」と「火刑台上のジャンヌ・ダルク」は実に素晴らしいものでした。これこそ「世界水準」だったと思います。