ドナルド・ラムズフェルドは詩人である

ラムズフェルド米国防長官が辞任するという噂だが、辞任後の就職先は決まっているのだろうか。どこかのシンクタンクの要職とか、関係の深い企業の役員とかになるのか、この辺に私は全く明るくないのでよく解らない。ただフィル・クリーンの「ZIPPO SONGS」に収録されている「3つのラムズフェルドの歌」の元ネタとなったブリーフィングを見る限り、彼は詩人としてもやっていけるかもしれない。以下勝手に引用。

There are known knowns.
There are thigs we know we know.
We also know
There are known unknowns.
That is to say
We know there are some things
We do not know.
But there are also unknown unknowns.
The ones we don't know
We don't know.
(2002年2月12日のブリーフィングから)

何かC級ラッパーみたく韻を踏みまくってますが、でもこれだけしつこくやるとかえって深く感じられるので良い。も一つ勝手に引用。

There will be some things that people will see.
There will be some things that people won't see.
And life goes on.

Life goes onですか。Show must go onですね(意味不明)。でも繰り言のように繰り返される言葉も音楽に乗せて歌われると心地よく聞こえるから不思議。まあでも公文書で文才を発揮しようとする、その熱意はすごいと思う。
まあラムちゃんについて触れるのはこれ位にしておいて、このアルバムのメインの曲の「ZIPPO SONGS」についても紹介したい。これは所謂「ベトナム・ジッポー」に刻印されている短い文章*1を歌詞にしたソング集なのだが、これらのライターに刻み込まれた文章を一度にたくさん見せられると結構迫ってくるものがある。その幾つかを挙げてみる。

DEATH IS MY BUSINESS AND BUSINESS HAS BEEN GOOD(私の仕事は死ぬこと その仕事はうまくいっている)
WHEN THE POWER OF LOVE OVERCOMES THE LOVE OF POWER THE WORLD WILL KNOW PEACE(力を愛することを愛の力が上回れば 世界は平和になるのだろう)
WHEN I DIE I'LL GO TO HEAVEN BECAUSE I'VE SPENT MY TIME IN HELL(私はきっと天国に行けるだろう なぜなら私はいま地獄にいるのだから)
YOU ONLY LIVE TWICE ONCE WHEN YOU'RE BORN AND ONCE WHEN YOU'RE LOOKED DEATH IN THE FACE(生きてることを実感するのは人生に2回しかない 1つはこの世に生を受けたとき もう1つは死を目の当たりにしたとき)

フィル・クリーンの音楽は瞑想的な雰囲気で、強いてカテゴライズすればアンビエント系、ということになるのだろうか。彼は前衛音楽グループ「バン・オン・ア・キャン」の周辺で仕事をしているそうだが、音楽からは尖った印象はあまりなく、デイヴィッド・バーンの最新アルバム「グロウン・バックワーズ」(asin:B0001D3KNK)の音世界に近いものを感じた。

Zippo Songs

Zippo Songs

(追記)iTMSにもあるよ(→こちら)。

*1:ここベトナムジッポーのカタログからも様々な刻印や文章などが読める