堤剛のバッハ無伴奏

昔英グラモフォン誌でとある外国人の批評家が彼のバッハの無伴奏を数ある名演の一つとして挙げていた。それを見るまではっきり言って堤剛のことをノーマークだった俺は手のひらを返したかのように店頭で探すようになりついにヤフオクで手に入れた次第。ちなみに俺は実は評論家の言うことに従順だったりする。だからハロプロのフットサルしてない方のメンツを集めて数ヶ月チェロの特訓をしてCDを出したとして、そのCDをカリスマ批評家が「久しぶりに音楽を聴いて涙した」などと「レコ芸」とか「CD Journal」に書けば買っちゃうね間違いなく。
それはそうと堤剛の良さは譜読みの確かさだと思う。「第1番」は和音の響きで聴かせる曲だけど前奏曲ではC線の音を意識的に響かせて和音がより重厚に聞こえるように心がけている。「第3番」はレガートで旋律のなだらかな流れを素直に表現し流麗でスマートに聴かせる。「第5番」は強弱を配慮しダイナミックな性格づけを行っていて、こういう解釈は僕は初めて聴いたので関心した。チェロの響きも充分で満足できる。というわけで気に入って何度も聴いているのだが残念なのは現在廃盤だってこと。ペレーニとかこれとか良い演奏のバッハの無伴奏がなかなか手に入りにくいのは困った。その一方でヨーヨーマのが10万枚近く売れてる訳で、マの非の打ち所がない演奏も悪くないけど、いろんな演奏を聴いてバッハの多様な表現を楽しみたいって事。