NHK-FMから

インゴ・メッツマッハー指揮マーラー・ユーゲント管(2003.12.2 on air)
初め聴いたとき冒頭のトランペット・ソロから始まる葬送行進曲があまり「泣き」が入っていない感じで粛々と進行するので途中で止めてしばらく放置していたが、このあいだ聴きなおしてみると、オケの技術のあまりのすごさに感嘆。少なくとも「緻密さ」においては世界で一番かもしれない。第2楽章と第5楽章の2回出てくるコラールの場面で、金管の裏のバイオリンのトレモロがこれほど楽譜に正確に聞こえたことはない。第2楽章の喧噪や最後の2,3分の大騒ぎも、普通の演奏なら何かごちゃごちゃした感じに聞こえるところがちゃんと音楽になってる。「楽譜どおり」だけど何の感興もない演奏は多いが、ここまで「楽譜どおり」であることを徹底するとこんな風にものすごいことになるのかと驚く。有名な「アダージェット」は普通は第1バイオリンの独壇場なのだが、ここでは他のパートもしっかりと聞こえてきて弦のアンサンブルを楽しんだ。このオケは昨年の来日公演をテレビでみたときは物足りなさを感じたが、この演奏で聴く限りものすごい実力を持っている。老舗オケでは聴けない「新しい」サウンドを実演で聴いてみたくなった。