NHK-FMから

私が今このとき「旬の指揮者は?」と尋ねられたら、おそらく「アバド」と答えそうな予感。最近彼の作り出す音の透明度が増した気がする。旋律以外の音の動きが今まで以上に鮮明なったというか、音楽に「複雑さ」がアップした感じ。このライブでも「海」の、特に第2楽章ではそんな最近の彼の充実ぶりが発揮されたと思った。しかしそれにしても彼の今回のオケ、かなり名手が揃っているのでは。「海」の第1楽章のチェロ合奏のとこなんか、すごくいい響き。フルートの音色もすごく明るくて、曲の雰囲気に合ってた。ヴァイオリンのメロディーのところで、若干ポルタメントを掛けたりして、その掛け方も心憎い。「聖セバスチャン」のコーラスも透明なハーモニーで良かった。「ヴォータンの別れ」の<炎の動機>前後は、も少しむせかえるような圧倒的音量が欲しかったけど。